もの忘れと認知症はどう違う?

人間は誰でも歳をとるにつれてもの忘れをするようになります。私たちの脳は30歳~40歳をピークにだんだんと記憶力が低下して行くからです。
しかしまた、高齢になるにつれて認知症が増えているのも事実です。認知症は早期発見・早期治療が何よりも大切です。


心配のないもの忘れと病的なもの忘れ

「もの忘れが増えてきた」と感じたとき、それが加齢に伴うもので心配のないものなのか、あるいは認知症の初期症状なのか、その違いを知っておきましょう。

心配のないもの忘れ

人の顔は覚えているのに名前が出てこないということがよくありますが、これは脳の中の顔を認識する場所と名前を認識する場所が違うため、その連携がうまくいかなかったり、時間がかかったりするためにおこる現象なので心配はいりません。

また、「とっさに言葉が出てこない、置き忘れやうっかりミス、部屋を移動した時に何をしようとしていたのか忘れる」などもよくあります。

名前や単語が出てこないのでその言葉の変わりに「アレ コレ ソレ」などの言葉で代用してしまうので「アレコレ症候群」などと言われたりします。

しかし、ヒントをもらえば思い出せたり、その場では思い出せなくても後で思い出せたり、やり直せたり、時間がかかってもきちんと用事をこなすことができれば、正常な範囲のもの忘れと言えます。

また、心配のないもの忘れは、忘れたり言葉が出てこない事に対して本人に明白な自覚があり、日常生活や職業活動に大きな支障をきたすことはありません。

認知症の初期症状としてのもの忘れ

認知症が疑われるもの忘れの場合は、ヒントをもらっても人の名前や物の名前が思い出せないということばかりでなく、以前の体験そのものを忘れるといった忘れ方をします。

時間の感覚があいまいになり、日付や曜日、季節などがわからなくなる「時間の見当識障害」が現れ、自分の年齢や生年月日もわからなくなります。

また、今いる場所がわからなくなり、外出した時に家に帰れなくなるという「場所の見当識障害」といった症状が現れます。

新しい出来事を記憶できなくなり、物事を計画したり、段取り良く物事を進めることが困難になる「遂行機能障害」という症状も現れます。

このような認知症の初期症状としてのもの忘れが進行すると、仕事はむろん、電車やバスに乗れなくなったり、買い物ができなくなったり、料理を作ることができないというように、日常生活に支障をきたすようになります。

心配な方は専門医を受診しよう

加齢による心配のないもの忘れと、認知症の初期症状としてのもの忘れには、上記のような違いがありますが、家族に疑わしい症状が見られたり、自分のもの忘れの度合いが激しくて心配だという方は、「もの忘れ外来」や「メモリー・クリニック」などを受診してみましょう。

簡単なテストでもの忘れが病的なものであるかどうかを調べたり、「MRI」や「CTスキャン」などで脳の萎縮度合いを検査することができます。
 
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