朝の血圧が高い「早朝高血圧」は危険

普段は正常血圧の方も、また降圧剤を飲んでいる方も、朝一番の血圧を測定してみましょう。
朝の血圧が高い早朝高血圧は、脳卒中や心筋梗塞などの発作を誘因しやすく、とても危険です。


早朝高血圧が危険なのはなぜ?

朝は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管系の発作が他の時間帯よりも3倍も多いことがわかっています。

脳卒中の発作は起床から2時間以内、心筋梗塞の発作は起床から1時間以内に集中して起きています。それも、夏よりは冬の朝が多く、早朝高血圧が大きな原因として考えられています。

早朝高血圧は、起きがけに急激に血圧が上がるため、血管壁が破れやすく、非常に危険なのです。

朝、血圧が高くなる原因

通常、血圧は活動を停止している夜間は低めになっていますが、朝方目覚める頃には誰しも急速に高くなります。

それは、日中の活動開始に備えて血液を体中に巡らせ、動きやすくするためです。

また、交感神経の働きも活発になり、ノルアドレナリンが分泌されて心拍数と血圧を上げます。

しかし、人間の体にはもともと上がり過ぎた血圧を元に戻す機能があり、血管を広げる物質を出して血圧を調整する働きがあります。

血圧が正常の人の場合は、たとえ起きがけの血圧が高くてもこのメカニズムが働いてしばらくすると下がって来ます。

ところが、この血管を広げる物質がうまく分泌されず、血圧を調整するメカニズムが作動しない場合は、血圧が上がりっぱなしになってしまう場合があり、これを「早朝高血圧」と呼んでいます。

早朝高血圧をさらに悪化させる原因には、次のようなものがあります。

  • 朝の冷え込み
    皮膚が冷えや寒さなどの刺激を感じると、末梢血管(まっしょうけっかん)が収縮し、血液の流れる抵抗力が大きくなります。
    血液を隅々まで流すためには、より強い圧力が必要になるため血圧が上がります。
    また、寒さによる刺激で、交感神経が興奮して血圧が上がります。
  • たばこ
    起きがけのたばこは、血圧を上げる原因になります。
    たばこを吸うと、ニコチンが副腎を刺激して血圧を上げるホルモンを分泌し、交感神経も興奮させるからです。
  • 精神的ストレス
    過剰な精神的ストレスは、交感神経を過度に刺激し、血圧を上げます。
    ショックな出来事や、心配事があって眠れない時などは夜間から血圧が上がりっぱなしになっている可能性もあります。
  • 睡眠時無呼吸症候群
    睡眠時に無呼吸だった場合、朝になって呼吸が戻ると同時に脈拍が急に上がり、交感神経も興奮して血圧が上がる傾向があります。
    この場合、睡眠時無呼吸症候群の治療をすることにより、高血圧も改善することがあります。

早朝高血圧による発作を防ぐために

早朝高血圧による心血管系の発作を防ぐためには、朝、布団からガバッと起きるのではなく、布団の中で深呼吸をしたり、手足のマッサージをしたりして少し間をおいてからゆっくりと起きるようにすることです。

もちろん、普段から日中の血圧と早朝の血圧を測定し、記録しておくことが大切です。
降圧剤を飲んでいる方は、血圧の記録をもとに主治医に相談してみることもおすすめです。
場合によっては、朝の血圧をコントロールできるよう、薬の種類を変えてもらうのもひとつの方法です。

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