アルツハイマー病の治療法

アルツハイマー病の治療は、進行を抑える薬物療法を中心に、非薬物療法も平行して行うことにより、効果を上げることができます。
現在、アルツハイマー病を完治させる治療法は残念ながら確立されてはいませんが、早期に治療を開始すればするほど治療効果が高くなり、進行をくいとめることができます。
また、新しい治療薬も続々と開発されており、認知症の研究も進んでいることから、将来的には完治への期待も高まっています。


アルツハイマー病の治療法

アルツハイマー病の治療には、次のような方法があります。

アルツハイマー病の薬物療法

薬物療法は、アルツハイマー型認知症の治療の中心として行われます。

アルツハイマー型認知症の治療薬として、最も一般的に使用されているのは、塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)ですが、早期に治療を開始すれば記憶力低下を1~3年遅らせる効果があるとされています。

また、2011年になって新しい治療薬が3種類使えるようになりました。メマンチン(商品名:メマリー)、ガランタミン(商品名:レミニール)、リバスチグミン(商品名:リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)の3種類で、一気に選択肢が増えました。

特にリバスチグミンは貼り薬で、1日1回患者さんの背中などに貼り付けるだけなので、服用忘れや重複服用を避けることができ、飲み薬をいやがる患者さんにも使用できるというメリットがあります。

また、不眠、幻覚、妄想、うつなどの周辺症状を訴える患者さんに対しては、精神安定剤、抗うつ剤、抗不安薬、抗てんかん薬、睡眠導入剤などが使用されることもあります。

アルツハイマー病の漢方療法

進行したアルツハイマー型認知症で起こる妄想や、徘徊、暴力などを抑える目的で、漢方薬の「抑肝散」が使用されることがあります。

また、易怒性、切迫感、焦燥感がある場合は、「加味温胆湯」が有効とされています。

血の巡りをよくする効果があるとされる「八味地黄丸」は、飲み続けることにより認知能力が改善したという例もあります。

アルツハイマー病の非薬物療法

アルツハイマー型認知症の非薬物療法は、患者さんの不安やストレスを取り除いて情緒を安定させ、活動性を高める目的で行われます。

軽度の場合、自宅では、生活リズムを整え、できる範囲で家事や仕事を続けることにより進行を抑えることができます。

介護者は、患者さんに対して間違いを責めたり、できないことを指摘するのではなく、なるべく優しく平静に対応することにより、安心感を与え、精神を安定させることができます。

また、絵を描いて脳を活性化させる芸術療法や音楽療法も早期に実施すれば有効と言われています。

そのほか、アルツハイマー型認知症の非薬物療法として、時間や場所、人間関係を認識させる現実見当識訓練、アルツハイマー患者自身を再認識させる心理療法、脳から強いストレスを除く強力振動水流入浴療法などがあります。

スポンサーリンク